都市問題会議2日目の報告
2025年10月12日
第87回全国都市問題会議の2日目はパネルディスカッション。内田奈芳美埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授をコーディネーターに、(株)みちのりHD代表取締役グループCEOの吉田元氏、まちなか広場研究所主宰の山下裕子氏、北海道室蘭市長が急遽不参加となったため、同市の企画財政部長髙橋知規氏、鳥取県米子市長の伊木隆司氏がパネリストでした。

【感情的納得性】大切です
まず内田氏から、関わっておられるアーバンデザインセンター大宮(こちら)での取組の紹介があり、機能的充足性や分配的合理性だけではなく感情的納得性を大切にして行われるまちづくりを提唱されました。人流を増やすことではなく滞留する人を増やす。通勤・通学などの「必要活動」だけではなく、良い条件があれば起こる「任意活動」の誘発ができる環境改善を、とのこと。ベンチや緑の設置などが有効な手段として示されました。
次に吉田氏からは、7社の交通グループ、1社の旅行会社、1社の合弁会社(ベトナム)で構成されているみちのりグループ(こちら)で、公共性と事業性を両立させながら「持続可能な地域交通」に取り組む様子が紹介されました。キャッシュレスバス(宇都宮市では70歳以上の市民に毎年1万円分の福祉ポイント贈呈で利用率平均88%)やAIオンデマンドバスの導入、レベル4での自動運転の実証運行(栃木県下野市)など、DXによる運行管理の高度化が奏功していることに驚きました。
山下氏は「まちの通過者を少しでも滞留者にする」ことを目的に、関係人口を交えた対話の重要性を説かれました。また、高齢者のフレイル(要介護以前の機能低下)期間への介助機能を道路に持たせること、つまり日陰となる木立やベンチを設置するなどの対策により、フレイル予防のみならず誰にでもやさしいまちづくりが可能であることを提言されました。ベンチ設置は私も要望として伺うことが多くなっています。高石市でも積極的に取り入れて頂きたいです。(山下氏が理事を務めるまちなか広場研究会はこちら)。

中学校跡地の生涯学習センター@室蘭市
髙橋氏は、かつて16万人を超えてた人口が7万4千人にまで激減し、高齢化率が39%の室蘭市は「課題先進市」として、いちはやく「立地適正化計画」により居住誘導地域を市街化区域の約3割に絞り込むなど大胆なコンパクト化に取り組まれた経緯を紹介されました。小中学校も33校あったものを15校に統合され、学校跡地に子育て世帯向けに小さな負担で入居できる賃貸住宅を用意し、流入促進につなげています。施設の統廃合については市民が「仕方ないよね」と思うまで説明が必要だが、全員の理解は得られない。最後は政治的決断が必要。その際のポイントは「後世の市民から評価される施策」を行うこと。と市長は考えておられるそうです。
最後に伊木市長からは、米子市の中心市街地を「歩いて楽しいエリア」にする取り組みを紹介されました。鳥取は石破総理の出身地でもあります。「楽しい日本」と総理が仰ったことはとても大切、と何度か言及されてました。私もそう思います。さて、米子市の「立地適正化計画」でも室蘭市同様「都市機能の集積と居住誘導」が盛り込まれています。少子高齢化に対応したリノベーションが必要とのことです。ここでもレベル4での自動運転バスの導入が計画されており、今年12月からまずはレベル2での実証運行開始予定とのこと(こちら)。凄いなぁ、と思って聞いていました。
全ての日程が終了し、さて帰ろう!となって宇都宮駅に到着するとなんと!!東北新幹線が架線にビニールが絡まったとかで止まっています。指定席を取ってる「やまびこ」を待ってたら帰れません。仕方なく停車している新幹線の自由席で立ったまま出発を待ちました。結局その新幹線は90分遅れで東京駅に到着。ドキドキしましたが、指定を取ってた東海道新幹線には間に合いました。良かった…。無事帰ってこれました。学んだことを高石市に生かせるよう、12月議会に向けて取り組んでいきます。

